「ギター改造DIY」ミッドブースト回路作成編

ギター改造・リペア

部品を仮組みしてみたよ🔧


さてさて、部品をいろいろ買い揃えたので、接続図をチラ見しながらブレッドボードに仮組みしてみました。
まずは端子間の数値をテスターでチェックする作戦です📏

写真は完全に「うーん🤔」って手が止まってる状態(笑)
パズル🧩を組んでるみたいに端子をつないでいく感覚ですね。

ちなみに今回はちょっと贅沢してオーディオ用のフィルムコンデンサーを使用。
見た目がでっかくてカッコいい!🔥
ただ、配置がめっちゃ難しいというオチ(笑)

💡私が考えたミッドブースト回路の流れはこんな感じ

まずは9V電池から電源を取り出して、ノイズ対策!
緑に光る✨電解コンデンサーと、定番ブルー💙のセラミックコンデンサーで不要なザラザラ音をカットします。
ここが決まらないと「砂嵐放送📺」になりますからね(笑)
つまり「電源 → コンデンサー → GND」というシンプルな流れ。

次はいよいよ信号の増幅!
ギターのピックアップ信号をトランジスタのベース端子に入力🎸➡️
コレクタから増幅された信号が出て、次のトランジスタのベースへ。
その間に直列のコンデンサーを入れて、交流信号だけをスルー✨
さらに2段目のトランジスタでミッドブースト回路を通して、中低域をフィルタリングしながらボリュームへ出力していきます。

…そして気付いたら「回路の沼」へズブズブ💦


「ベース電圧だけ上げれば音出るっしょ?」なんて思い込んでたのが敗因。
4.5Vくらい出せばいいのかな?と抵抗を変えながらテスターで何度も測定🔍
半日やっても「なんか違う…😇」
え?コレクタ抵抗ってそういう意味なの?9V入力だから電圧低いのか!?(笑)

高校の授業で習ったはずのトランジスタ増幅、記憶の彼方へ…。
調べ直したらこんな仕組みがありました👇

1️⃣ ベース(B)に接続される抵抗・コンデンサー

  • 抵抗(Rbなど)
    • ベースに流れる電流を制御するための抵抗です。
    • トランジスタは ベース電流のわずかな変化でコレクタ電流を大きく変化させるので、抵抗で電流を制御しないと暴走します⚡
    • 「入力インピーダンス」を決める役割もあります。ギター信号の音質にも影響。
  • カップリングコンデンサー(Cinなど)
    • 前段(ギターのピックアップ)からの交流信号だけを取り込み、直流(バイアス電圧)を遮断する役割。
    • 直流がベースに流れると動作が崩れるので、交流信号だけ増幅します。

2️⃣ コレクタ(C)に接続される抵抗・コンデンサー

  • 抵抗(Rc)
    • コレクタ電流を制御し、出力電圧を作るための負荷抵抗です。
    • Rcの値を変えると「増幅率(ゲイン)」や出力振幅の大きさが変わります。
    • 音質的には高めると太い音になりますが、あまり高すぎると歪みやすくなる。
  • カップリングコンデンサー(Ccなど)
    • 次段に信号を送るため、直流をカットして交流信号だけを渡します。
    • 直流が次段に流れると回路が狂うので必須。
  • パスコン(場合によって)
    • 高周波ノイズや発振を抑えるため、コレクタとGNDに小容量コンデンサーを入れることもあります。

3️⃣ エミッタ(E)に接続される抵抗・コンデンサー

  • 抵抗(Re)
    • エミッタに入れる抵抗は、トランジスタの動作安定化とゲインの制御に使われます。
    • Reが大きい → 安定性アップ、ゲイン少なめ
    • Reが小さい → ゲインアップ、安定性は下がる
  • バイパスコンデンサー(C_bypass)
    • Reに並列に接続して、交流信号のゲインを高めます。
    • 直流はReで安定させつつ、交流成分だけはバイパスして増幅率を上げるイメージです。

この知識を頼りに組み直し開始!🛠️
…と思ったら、コンデンサーの直列接続を間違えててコレクタ電圧が全然上がらない。😅
そこで「電圧を安定させるならバッファ回路だな…🤨」と次の策を考え始めました。
注)しばらくこのミスに気が付かず迷走してます・・・・

試作品1号の完成✨

あれこれ試して、ついに「試作品1号」が完成!🎉
とりあえずzoomのエフェクターG2Nuを所有してましたのでヘッドフォン端子から聞いてみました。
ところが・・・
「ん?なんかクリーントーン?」という予想外の結果(笑)

どんなにディストーションかけても改善されず一日中悩んで何と無くオーディオインターフェイスにも繋げてデータを取ろうと試みるがやっぱりミッドブースト感は無い・・・
やはり部品接続が悪いのだと再度テスターで出力などを見ると・・・
何とギターのシールドジャックから直流が出てるではないか!!
まずい壊れる
とりあえず長時間接続してないので今のところは大丈夫そうだ(´;ω;`)

どうやら信号を増幅させ直流成分を1μFのコンデンサーで最終段階の除去と過大電流の保護回路の接続をミスっていたようです。危ない!!

再度テスト、でもまだクリーン😅

次の日、配線やバイアスを確認して再度接続開始!
ベース、コレクタ、エミッタの関係が理解できたところで各部電圧も安定!シールドジャックから直流が出ていないことも確認済み。
さあオーディオインターフェイスにつなぐぞ!…と思ったら、やっぱりクリーンサウンド。

再度初めから増幅とはなんだという事から考えることにしました。
増幅する=ノイズも増える
現状ノイズだけはいっちょ前に増えてます。まぁ、分かります
「増幅しても中域しかブーストされてない」という現象ですね!
原因は単純で、信号は各部を通ると減衰してしまい、狙った中域以外はあまり増幅されないのです。
ノイズだけはバッチリ増えてるので「増幅自体はできてる」ということですね。

シールドジャックから直流もカットを確認したので再度オーディオインターフェースに接続して何が原因なのか分析します。

出力とレンジ

ダイナミクス(音の強弱レンジ)
パッシブ:212.29 dB
ミッドブースト:211.49 dB
→ ほぼ同等。ブーストしてもレンジは狭まっていません。

RMS(平均出力)
パッシブ:0.0300
ミッドブースト:0.0277
→ 意外にも パッシブの方がわずかに大きい。これはブースト回路の段階でピークを抑えた可能性があります。

EQと存在感

  • EQロー・ミッド / EQミッド
    パッシブ:0.34 / 1.83
    ミッドブースト:0.43 / 2.09
    ロー・ミッドとミッドが強調され、厚みと芯が強くなる。

ミッド成分は若干上がっているようなので単純にアンプ側でゲインを上げてやれば良さそうですがノイズばっかりでピーピーハウリングしてしまい歪み量もとんでもない数字になってます。

部品と電圧調整で改善💡

ここで試行錯誤を繰り返します。

  • 電源はノイズ除去用コンデンサーでアースをしっかり取る
  • トランジスタのコレクタ端子にも0.1μFのノイズ対策コンデンサー
  • ベース抵抗はプラス側とアースで分圧して微調整
  • 各部作用を理解し部品の配線ミスをなくす

最も重要な事が4.5vトランジスタ2段だけの増幅ではヘッドルームが不足して中域だけがブーストされるので、3段目を追加してゲインを上げ安定した信号出力を得る方向に転換しました。

3段目の増幅で狙い通りに📈

  • 1段目:ピックアップ信号を軽くブースト、直流成分は通さず
  • 2段目:ミッドブーストを実行
  • 3段目:パッシブピックアップと同等の増幅量になるよう調整(内部ゲイン180倍)

結果、回路を通過する際の信号減衰を補正しつつ、ノイズも最小化に成功!
オーディオインターフェイスに接続して分析すると…

全体の信号レベルとダイナミクス

指標パッシブミッドブーストコメント
RMS0.010940.01184ミッドブーストでわずかに信号レベル上昇(約8%増)
Crest Factor (dB)19.1121.37ピーク感が増え、より“アタックが強い”印象に
ダイナミクス (dB)13.9115.14ダイナミクス幅も拡大、弦のニュアンスが出やすい

EQ傾向

指標パッシブミッドブーストコメント
EQ低域0.1140.214低域が増加、やや太くなる
EQロー・ミッド0.4290.519ローミッドも少し増加
EQミッド1.6591.627中域はほぼ同じ
EQハイ1010高域は変わらず
  1. 音量・アタック: ミッドブーストは若干強めで、アタック感が増す。
  2. 倍音: 奇数倍音寄りになり、エッジの効いた音質。
  3. EQ: 中域はほぼ同じ、低域・ロー・ミッドが少し増加 → 太さが増す。

💡 測定結果

ミッドブースト → 少し太く、奇数倍音強め、存在感UP、ギターソロやリード向き
直接耳で聞いても若干太い音になったかな・・・と思います

それでは音を聞いていただきましょう!
      ※録音後サンプリング周波数「44.1kHz」24bit程度に落としてます
パッシブピックアップ時

ミッドブーストON時

ノイズは若干ありますが実用レベルなのでとりあえずOKといたします。
最終的に、3番目トランジスタのコレクタ電圧がだいたい7V以下(飽和領域)までは使えると思いますが、実測5.5v前後になり、これ以上ゲイン増加は大本の入力電圧を上げないとバイアスが安定せず「暴走」してしまい、ミッドの効きを大幅に増加が見込めないと判断し今回は腹八分目で諦め次に活かす事にしました。🔥🎸
んーなんか”領域”とか”暴走”とかアニメみたいです(笑)

ここまでで、ミッドブースト回路の設計テストは一段落です。

  • パッシブピックアップと比べてもレンジはほぼ変わらず
  • 中低域の厚みと芯が増した
  • 高域は維持され、倍音のエッジ感も追加

試作1号の惨劇から比べると大進歩です😂🎉

✨次回予告

新世紀トランジスタ「初号機から参号機まで、試作と検証を重ねてもシンクロ率は安定せず…。
コンデンサーはうなり、抵抗は熱を帯び、基盤はすでに飽和状態に達していた。

しかし、それこそが新たな進化の兆し。
抑え込んでいた電流はついに制御を離れ、暴走の時を迎える――。

次回『暴走!ミッドブースト回路トランジスタの逆襲』
音は暴れる、回路は吠える。果たしてサウンドは覚醒するのか…?」

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